☆待っていてくれるお客様---!
電話に、あるお客様から訪問依頼があった。
”明日、夕方頃に配置商品の点検に来てくれるか?”という内容であった。
早速、翌日 夕方5時だったろうか?只、周囲はまだ3時頃にしか思えないくらい陽は高い。
蝉が近くで激しく鳴いている市営アパートの4階にトランクを持って昇っていった。
そこに住む83歳の一人暮らしのご主人様は、玄関の奥から”どうぞ…”と声を掛けてくれた。
早速、わたしは”失礼します”と靴を脱ぎ、少し暗い廊下を通り居間まで辿り着くと、そこには配置箱と座布団が置いてあった。
(=゚ω゚)人(゚ω゚=) お久しぶり!
わたしは、いつものように座布団の上に座り、箱の中を開いて点検を始める。一つだけ商品を使って下さっていた。
”冷たいものがいいいですか?””温かいものがいいですか?”と、この年配の紳士は尋ねられた。
”では、温かいものをいただきます。”とわたしが返事をすると、温かい紅茶が出されて来た。
”シュガーは好きなだけ入れて下さい。それから、良かったら、お菓子も食べて下さい”と菓子箱も一緒に出されて来た。
目の前には、大きな液晶テレビが置いてあり、画面から今日のニュースが飛び込んで来る。政治の話、猛暑の話など、世間話などに花が咲く!
☆料理好きな奥さんの思いで---!
もうすぐお盆が近いのだが、5年前までは、こちらはご夫婦の二人暮らしであった。
その奥さんは、とても料理を作るのが好きで、また、腕の良いので、わたしが訪問する時は、必ず沢山料理を準備して迎えてくたのだ。
それは食べきれないくらい何種類のおかずが並び、時にはタッパに入れて持ち帰る時もあった。実は、このご主人様は小食なので、奥さんとしては誰か沢山食べてくれる人がいれば、喜んで食べてくれる人には食べさせたいらしい。
そのお零れに与かっているのが、このわたしであった。それに加え、とても話好きと来ているので、逆に旦那さんは寡黙を装っておられたらしい。
最初は、それが分からす、結構、このご主人へも気を使ったものである。その賑やかな奥さんが急にいなくなったので、何となく寂しい感じがしていたが、今は、この老紳士もわたしも少しづづ慣れて来た。
大概、電話は年金月に向こうから掛かって来る。実は、お伺いするたびに沢山の生野菜を頂くのだ。”たまねぎ””にんじん””キャベツ””ブロッコリー”など大きなビニール袋一杯いただく。
別に、このお客様が畑仕事をしているわけではない。この方の仕事は「中古バイクの運搬業」である。
それが、何故”沢山の野菜”に結び着くかと言えば、実は取引先で廻っている あるバイク屋の御主人が農業もやっていて、農協に出荷出来ない野菜を必ずくれるというのだ。
本当は一人暮らしで、料理をするにしても多かが知れている。
それでも、わたしに家族が多いことを知っている この老紳士は、わたしのために、沢山の野菜を持ち帰りわたしに取りに来るよう連絡して来てくれるのだ!
(ρ゚∩゚) グスン
☆お礼の思いを1本のドリンクで---!
何と有り難いことだろうか?その思いやりが嬉しいわたしは、何もお返しするものがない。また、向こうのも、それを期待しているわけでもない。
ただ、わたしの感謝の気持ちの現れとして、いつも1本の栄養ドリンクを置いてくる。たった1本だが、それでも、その老紳士は、いつも喜んで受け取ってくれるのだ。